煙管の語り場

此処をキャンプ地とする

ソウルシリーズ整理 無印編

ダークソウルという世界は、古竜だけが存在する単色の「灰の時代」から、様々な神々が生まれた「火の時代」へと移り変わった神話の物語。

無印OPより以下抜粋。

だが、やがて火は消え、暗闇だけが残る

今や、火はまさに消えかけ

人の世には届かず、夜ばかりが続き

人の中に、呪われたダークリングが現れはじめていた

この「火の時代」をもたらした「はじまりの火」が消えかけているという。

それを何とかしようと、不死に与えられた使命を果たすのが無印のはじまりでした。

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▼無印の巡礼の旅路


火の時代が到来し、やがて生物によって文明が築かれ、国が建てられる。
その中で、古い神々の土地であるロードランを旅することになったわけですが、そもそもの始まりとして、無印主人公は投獄された不死の一人であったわけです。
神話の時代には「不死」と呼ばれる不死性が備わった存在があり、それは人のみに表れたもので、それを北に集めて投獄しているという人間にやさしくない世の中でした。

そんな不死院に投獄された無印主人公は、突如現れたアストラの上級騎士と出会います。そもそも発端は、彼の最期の願いを聞き届けたことでした。

彼曰く不死とは使命の印。目覚ましの鐘を鳴らして不死の使命を知れ。


これを代わりに叶えることが、無印主人公の当初の目標だったわけです。
そして鐘を鳴らして現れたのが、世界の蛇、王の探索者フラムト。

不死の勇者よ。お主の使命は…大王グウィンを継ぐことじゃ
かの王を継ぎ、再び火をおりなし、闇をはらい
不死の徴をはらうことじゃ 

世界から闇を遠ざけるため、大王の後継者として「はじまりの火」によって闇を払うことで、不死の呪いを消すこと。

これが使命であり、その為の手段として「王の器」が必要とされました。これを果たし、偉大なるソウルを「火」へと還していく。ソウルで器を満たしたことで、無印主人公は、大王の後継者の座に就く初の不死として認められたわけです。

そうして主人公である彼/彼女は、全ての生物の源である「はじまりの火」を絶やさないため、世界を救う役割を果たす「薪の王グウィン」の後継として、火を継ぐ為の薪となる道を選ぶことになりました。

こうして世界は救われるのでした。めでたしめでたし。

無印火防女の台詞より以下引用。

…あなたが、火を継いでくださるのですね
…ありがとう、ございます
…これで不死の呪いも消え、私も、人として死んでいけます

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

深淵

王グウィンは、闇を恐れた
火の終わりを恐れ、闇の者たる人を恐れ
人の間から生まれるであろう、闇の王を恐れ
世界の理を恐れた
だから奴は、火を継ぎ、自らの息子たちに、人を率い、縛らせた

世界蛇カアス曰く闇の時代の到来こそが、人という種族の悲願であったという。

それを恐れたグウィンは、自ら火を継ぐことを選んだという話でした。

神々と人は本質的に相容れない存在であり、人は隷属の道を余儀なくされていたわけです。しかし、カアスが語るように、人の祖先である「名もなき小人」は闇のソウルの力を理解していました。

貴公ら人の祖先は、闇のソウルを得て、火の後を待った
やがて火は消え、闇ばかりが残る
さすれば、貴公ら人、闇の時代だ

闇こそが人の領分であるということ。

それは火が絶えた後、もっとも強大な存在になれることを意味しており、人の力は闇に由来するからこそ、火の陰りとともに人は不死に目覚めている。

不死となったために迫害されてた人は、本来のあるべき姿に戻ってるだけだったというオチ。

カアス曰く

かつて火のはじまり、貴公ら人の先祖は
古い王たちの後に、四つ目のソウルを見出した
闇のソウルだ

タイトル回収。

誰も知らぬ小人は「最初の火」より「闇」を見出した存在であり、王のソウルの代わりに見出した「闇のソウル」を見出していた。人だけが人間性という力を持っている。それは様々な用途を持っている、人のみに与えられた力でした。不死は無意識のうちにその闇のソウルの力の一端を行使していた。小人が最初の火から見出した王のソウル、それこそが「ダークソウル」でした。

雌伏の時を、人は歴史の中で過ごしていたわけです。

ならば火を絶やし、闇の時代を築くことが、人にとって正しい選択となるのではないか? それとも、曲がりなりにも共存している火の時代を絶やさないべきか?

どちらの道を選ぶのかは、あなた次第。これが無印の旅路でした。

 

▼「はじまりの火」とソウルの力

ややこしいことに、我々が使役していた炎属性の武器や呪術はまた別物であるというか「はじまりの火」から見出した力の一端に過ぎません。

「イザリスの杖(無印)」より以下引用。

イザリスの魔女が混沌に飲まれる前 まだ娘たちが炎の魔女だった頃の杖
呪術はまだ生まれておらず 彼女たちの杖も魔術の触媒であったが その炎の魔術は完全に失われてしまった

王のソウルを身に宿したイザリスの魔女は、魔術としての炎を使役することができました。これと同様に、人が使役できる炎もまたソウルによって形作られた魔術であったわけです。

イザリスの魔女は「はじまりの火」に魅入られ、それを再現しようとし、自らが生んだ炎に飲まれ、自身は混沌の苗床という化物と化してしまいました。

その炎こそが、混沌の炎でした。そこからデーモンという種族も誕生しました。呪術の炎とは、この魔女の研究過程における副産物のようなものでありました。

この世界において「はじまりの火」とは無から有を生み出し、すべての生物に力(ソウル)を与える唯一の光。これを絶やさないための「火継ぎ」が「火の時代」の存続の為に求められていたわけです。

あえて言ってしまうならば、我々の世界では「海」がこれにあたりますね。
無から有、あらゆる生命が誕生するスープの役割だったのが、この世界において「はじまりの火」だったわけです。

 

▼残された疑問

神々の本性がカアスによって暴かれたわけですが、火を絶やしたい彼もどさくさに紛れて教えてくれていないことがありました。

結局「不死の呪い」って火を継いだら本当に消えるの?

何だかんだ、これに関しては当時うやむやにされていましたし、闇の時代が来たら問題にならないと思われてるのか。人間性を失うと亡者になるゲームシステムに順応すると忘れますが、元はといえば、火が陰った影響で、呪われたダークリングという存在が表れたという言葉がありました。これはずっとアイテムとして所有していました。

だが、やがて火は消え、暗闇だけが残る
今や、火はまさに消えかけ
人の世には届かず、夜ばかりが続き
人の中に、呪われたダークリングが現れはじめていた

不死の呪いを受けた者は投獄され、やがて正気を失った亡者となって朽ち果てる運命を背負うことになりました。

仮に、囚人がなんとか牢を出たとしても
人の世界に戻ることはかなわないだろう

「不死院二階東の鍵」より

逆説的に言えば、人は「死ぬ存在」として世の中は成り立っていたわけです。通常であればそれが普通だと思うでしょうが、万物を生み、火によって差異がもたらされたこの神話の世界では、ちょっと話が変わってきます。

ここで、最初の「火の時代」の成り立ちを思い出してみましょう。

最初の死者、ニト
イザリスの魔女と混沌の娘たち
太陽の光の王グウィンと、彼の騎士たち
そして、誰も知らぬ小人

王のソウルを有する彼らはその身に強大な力(ソウル)を宿していました。それは異なる力として姿を変え、それは炎や雷という属性が与えられ、それをもって古竜に戦いを挑み、火の時代を築きました。

それらは王の力を得、古竜に戦いを挑んだ
グウィンの雷が、岩のウロコを貫き
魔女の炎は嵐となり
死の瘴気がニトによって解き放たれた
そしてウロコの無い白竜、シースの裏切りにより、ついに古竜は敗れた
火の時代の始まりだ

小人戦力外通告説。

という感じで、誰も知らぬ小人の見出したソウルの力は言及されていませんでしたが、ここではっきりしたのは「死」という概念が墓王ニトの管轄にあったという点でした。

つまり、この世界における「死」とは、始まりの火より見出した力(ソウル)の一つ。「生」と「死」が差異によって分かたれ、力の一種として存在しているというものでした。

それゆえに、最初の死者となったニトは己の力として、死を自在に操ることができたわけです。死の力(ソウル)を完全に使役するには、死者であることが求められる。
だから、ニトの眷属である墓地に蠢いてたスケルトンもまた、完全な死者でありながらも、死(ソウル)を動力として存在していたわけです。死を糧とする彼らを害するには、生者のソウルを奪うような殺しではなく、死のソウルを止める神聖武器によって、中のソフトウェアを壊すことが必要だったわけです。

また、それに及ばずとも、ステータスにある「生命力」の数値が減ることで「死」が近付き、より大きな力を発揮する装備やボスクラスの存在もまた「死のソウル」の力を借りているというのが、からくりなのではないのでしょうか。呪われた指輪多すぎ問題。

話を戻すと「死」を超越したのが、不死という闇の眷属だったのです。

仮に火が陰って「死」と「闇」の力関係が逆転して、不死が現れ始めたのだとします。しかし、「はじまりの火」が陰っていたのは無印本編スタート時よりずいぶん昔の話です。見つかった不死は不死院に投獄され迫害する対象として見なされますが…

そもそもの話として、最初期にも火が陰ったからこそグウィン自身が火を継いだのであり、フラムト曰く1000年前から後継者を待っていた。

1000年越しの嫌がらせとか、今更ですよね。

だとすれば、神々は不死の呪いを認識したのはいつなのか? 

グウィンは何を恐れていたのか?

貴公が望むのならば、我が力をも授けよう 

闇の王の力、生命喰いの力だ

その力で、不死として人であり続け 

貴公ら人にはめられた、神の枷を外すがよい

かつてグウィンが人を恐れて火継ぎに身を捧げた理由、闇の力の正体は「人の不死性」ではないのか。

闇の力には「生命喰い」という別のものがあることと、人は神によって枷を嵌められた存在であることが、カアスの言葉によって示唆されています。

神が「人」と「闇」に何を見て、何をしたのか。

その一端が、DLC [ARTORIAS OF THE ABYSS EDITION]にて明かされることになり、

さらには『2』での探求の旅路に繋がることとなりました。